がちゃがちゃきゅ~とつむらっと

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感想文はどうやって書けばいいのだろうか?

はじめに

適当に書くので頑張って読んでほしい。全部主観で書いたから異論もあるかもしれない、その時はごめん。

序論

最近(というか昔から)よく頭をよぎることがある。

「感想文って難しくないか?」

感想文と言われると思い浮かぶのが、小学生の時に夏休みの宿題なんかで書かされた読書感想文だろうか。自分もご多分に漏れず苦労した記憶がある。大抵の小学生が紡ぐことのできる感想なんて「面白かった」「すごかった」程度のもので、そこから規定の文章量まで到達させるのは中々に至難の業であろう。文字数稼ぎのために感想文なのにあらすじを列挙しだすのはあるあるだろうか。

確か自分の記憶では中学生で夏休みにやはり読書感想文を書かされた以降は、そのような類の文章を書かされた記憶はあまりない*1。大学生、社会人ともなると何かを鑑賞して感想を記す機会というのは、そういう事を趣味としている訳でもない限りそうそう無い気がする。せいぜいテレビで映画を観た後でTwitterなんかに感想ツイートが載るくらいだろうか。現代では鑑賞中、場面ごとに瞬間瞬間の印象を呟くといった機会の方が多い気もする。

感想文の必要性

ここで突然根本的な話が始まってしまうが、そもそも感想文を書く必要性があるのか? そこから面倒くさいが考えていきたいと思う。感想文を上手に書ける事によって人生に明確なメリットがあるか? という問いであるが、正直そこまで良い事は無いのではないだろうか。勿論そういった事を生業とする人もいるだろうが、大多数はそうではない。というかそもそも感想文を書くような作品を読んだり観たり聴いたりする機会があまり無いかもしれない。

では上手な感想文のメリットとはなんだろうか? 自分は「他人にその作品をより適切に伝えられるかどうか」だと思う。

例えば近場の新しいレストランがえらく美味しかったとしよう。友達にもそのレストランに行ってもらいたい、その時に

「あのレストランちょー美味かった!」より

「あそこのレストランはね、前菜のレタスがシャキシャキで新鮮で、朝摘みのトウモロコシを使ったポタージュがコーンの甘さが感じられて、メインのハンバーグはそれはもう肉汁がジューシーでふわっとしてて火の通りも完璧でソースは和風で全体の一体感が~」

みたいな事を言われた方が興味が湧きやすくなるはず*2。自分が良いと思った物を他人にも体験して欲しいと思うのは当然の事だろう。その時に自分の言葉に説得力があるかどうかは結構大事だ。

加えてもう一つは「後からの振り返りやすさ」ではないだろうか。

これまた食べ物の話になるが、仮にマクドナルド、ロッテリアモスバーガーバーガーキングの大手ハンバーガーチェーン店があった時に、「全部美味しい!」というデータしかないと、いざという時にどこに行けばいいか、また他人にどのバーガーショップを勧めればいいか迷ってしまうだろう。

だがここで「マクドナルドは店舗の多さと安定感のあるメニューで幅広いニーズを満たせるよ」「ロッテリアの絶品チーズは美味い、チーズを堪能したいなら是非!」「モスバーガーは全体的に健康志向高め、パンを使わない菜摘というバーガーもあるよ」「バーガーキングは直火で焼いたジューシーなパティとそのボリューム満点さがいい」みたいなデータがもしあれば立派なバーガーマエストロになることができるだろう。なりたいか?

なんにせよ大事なのは、上手な感想文には説得力が生まれるということだ。本当に上質は感想文は興味の無かった人に興味をもたせるし、つまらないと思ってた人に面白いと思わせるかもしれない、はたまた作り手側が想像もしていなかった意図を生んでしまうかもしれない。正直感想文は危険な物だと思ったりもする。

感想文の作り方

では感想文はどう書けばいいのだろうか。当然まず大事なのは結論だろう。「面白かった」「感動した」「つまらなかった」などなど。感情を無くしてしまった人間でもない限り作品に触れたら何かしらの印象を受けるはず。まずはそれを結論に据えよう。

ここまでは小学生でもできる。大事なのはここから。なぜそう思ったのかという理由付けをしていかないといけない。なんの理由もなく突然脳天に「面白かった!」という感想が響き渡る訳も無いので、そこには理由が必ず存在するはずなのだ。「主人公とラスボスのバトルが手に汗握る展開で最後までどちらが勝つか分からずどんでん返しの連続で面白かった」「主人公のヒロインに対する告白に感動した」など。

ここで問題になってくるのが、「どこまで肉付けするか」という作業である。例えば

「主人公のヒロインに対する告白に感動した」

「数々の困難を乗り越えた主人公が最後の最後で息絶え絶えになりながらもヒロインに告白し、それが受け入れられたことに感動した」

だとやはり後者のほうが説得力のある感想に思える。ただ冗長になりすぎても意味が無いと思うので、基本的には「○○な部分が△△」という形に落ち着くのではないだろうか。

感想文の問題その1

ここで最近自分が気になっている感想文の「難しさ」について話したい(実はここからが本題)。例えば「つまらなかった」と思った作品があったとしよう。そのつまらないという感想を肉付けするために作品を思い返し「あのシーンがこういう理由でつまらなかった」「そのシーンがああいう理由でつまらなかった」という文章を組み立てていく。その工程の最中で、「つまらないシーンをピックアップする」ことに躍起になり、面白かったシーンが頭から抜け落ちてしまうのでは無いだろうか。

起承転結という言葉がある通り作品には起伏があるのが当然だし、場面場面で与える印象も当然多少なりとも異なるはずだ*3。光る場面があればここはちょっと…… という場面もあるだろう。

だが先程の例のように「つまらない」という感想を装飾するのに夢中になるあまり「つまらなくない」部分を殺してしまうという現象はそこそこ起こってしまうのではないだろうか。

ここで自分が特に問題視しているのが、後からその感想文を読み返した際に必要以上に「つまらない」という印象を受けてしまうことだ。なんせそこにあるのは過去の自分が全身全霊を込めて「つまらない」と思う箇所を抽出した、洗練された文章なのだから。

少し話は逸れるが、「頭のいい人ほど自分の立てた仮説を裏付ける説明ばかり揃えて、反証には見向きもしない」という事例があるそうだ。それこそ反ワクチンの人がワクチンが有害な例を頑張って集め、ワクチンの有効性には見向きもしない、のような話である。実際これと似たような事は簡単に起こり得るだろう。

先程利いた風な口で「結論が大事」などと述べてしまったが、結論に固執しすぎても良くないのが事実だ。仮に面白いシーンとつまらないシーンが2:8くらいの割合だったとしたら、感想文の内容の比率もそれくらいにしてあげるべきだろう。それこそ正当な感想文ではなかろうか。

感想文の問題その2

仮に鑑賞直後に「面白くなかった!」と感じた作品の感想を述べるとしよう。作中の様々な場面を思い返して「あのシーンは良くなかったな」「あっちのシーンは感動的だったな」と思い返しているうちに、「あれ、もしかしたらこの作品面白かったんじゃね…?」となることもきっとあるだろう。

その時に感情的なファーストインプレッションを大事にするか、理性的なセカンドインプレッションを重視するか。自分は第一印象をかなり大事にしたい人間なのでそちらを優先してしまいがちだが、当然しっかりと考えて出てきた感想も大事(というかそちらが正確な批評の可能性の方が高いはず)なのである。

ここで大事なのはやはりどちらかに傾倒してしまう事ではなく、両方大事にすることであろう。するめは硬いがよく噛んでいると味が出てくる。その「硬い」も「味が出てくる」も両方するめを構成する要素なのでどちらかを捨て去ってしまってはいけない。両方存在してこそのするめなのだ*4

実際いくら熟考した結果が面白くとも、最初に「つまらない」と思わせてしまうのであればその作品が完全に成功しているとは言えないはずだ。そういう点も感想文にして伝えていこう。

最大の難所

感想文を書く上での一番の問題点、それは「何を書いて良いかよく分からない」という事ではないだろうか。自分の中でモヤモヤとした感想はあるのだけど、それを上手く言葉にできない、どうすれば上手く伝わるのかが分からないという状況。

大まかに分けてその原因は二つあるのではないだろうか。

一つは単純に作品への理解が不足していること。やはり一度作品に触れただけでは分からない事も多いだろう。だが何度も作品を鑑賞する内に自分が伝えたい事がハッキリしてくる。加えて回数を重ねる毎に自分の中での感想が変わっていく事もあるだろう、それもまた面白い。

そしてもう一つは単純に言語化能力が不足していること。自分が考えていることを他人に伝わる文章にする、という作業は案外難しいもので、分かりやすさを求めるのであれば一定の修練は必要だと思っている。(そういった練習を小学校の読書感想文なんかでしていたのかもしれない)

例えば4コマ漫画の感想文を簡単でも良いから書いてみる。そういった所から言語化の練習をしてみてもいいのではないだろうか。

あとは感想文を書く前提で作品を鑑賞してみるのもいいかもしれない。場面場面に対して定量*5に向き合うことができる……気がする。

まとめ

『サイダーのように言葉が湧き上がる』という映画が面白いので是非観てほしい。おそらくそろそろ上映が本格的に終了しだすと思うので。

じゃあね。

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*1:高校時代、大学時代に何かの映像を観てその感想を書くというイベントはあった気もするが、そこまで真剣に取り組んだ記憶もないのでここでは無かったことにする

*2:食レポの文章下手すぎて泣けてきた

*3:ずっと同じようなテイストが続くのはそれはそれでしんどいだろうし

*4:なんでするめの話してるんだろう…

*5:この表現は厳密には間違っていると思うが伝わって欲しい