痛アクリル板について
はじめに
光って素敵だよね。日常の様々な場面において使用される「光」であり、現在我々が生活するにあたって必須と言っても過言でない存在である。光を適切に使うことで、その光は人に感動を与えることができる。かの有名な『ルミナリエ』等がその良い例だろう。
その光だが、今挙げたような大規模な物でなくても、十分人の心を動かすものになりうる。ここでは、そんな「光」を使ったとある制作物について触れていく。
ところで
9月中旬より発売された、ガシャポン「アルティメットルミナス ウルトラマン01」がとても素晴らしい商品になっている(公式ページリンク)。
このガシャポンにはS.H.Figuartsにも見劣りしないサイズのウルトラマン、ティガと彼らの膝程度の高さの団地の3種類が収録されている。ウルトラマンとティガについては500円のガチャとは思えないサイズと造形、塗装であり、それが光るというのだからほぼ文句の付け所がない。これも「光」を巧みに用いた作品の一つと言えよう。
また、ハズレ枠である団地にはウルトラマンを光らせるための『ルミナスユニット』というものが同梱されている。「またバンダイ狡い商売しやがって……」と思われるかもしれないがこの団地がまた侮れない。団地をいい感じに組み合わせていい感じにマンやティガを配置して、いい感じに写真を撮ることでいい感じな写真をいい感じに撮ることができるのだ。
例えばマンとティガが一度出てしまいさえすれば、改造等を考えない限り逆に団地があたり、マンティガがハズレ枠にすらなりうるのだ。
このガシャ、一回500円と決して安い部類ではないがその金額に十分見合った、寧ろそれ以上のクオリティを誇っているので見かけたら是非回していただきたい。団地ばっかり出ても僕は責任を取りません。
痛アクリル板って?
閑話休題。そもそも痛アクリル板とはなんぞや、という話をする。とは言え文字で説明するのは中々に骨が折れるのでとりあえず実物を見ていただくのが早いだろう。
要するに痛アクリル板とは、アクリル板をいい感じに加工して、いい感じに光を当てたらいい感じになってひゃっほーいってやつのことである。
痛アクリル板という名称について
ここではこの制作物の名称として「痛アクリル板」という物を用いているが、正直な話個人的にはこの呼称はあまり気に入っていない。じゃあなんて呼ぶの?って聞かれると困るのだが(光るアクリル板というのも野暮ったい、アクリルスタンドとか?)。自分が独自に調査を行ったところ、この「痛アクリル板」という呼び方が最も使われていた気がしたのでここではこの呼称を採用している。
痛アクリル板について
ここからは自分の主観と想像が多分に入るので間違っていたらゴメンナサイ。
痛アクリル板の制作方法には主に2種類あると考えられる。それは「削る」と「載せる」である。ちなみに先程あげた画像は「載せる」という方法で制作した。
「削る」
こちらに関しては、文字通りアクリル板を「削る」ことで制作を行う。その削りを行うために一般的に用いられるのがリューター(Wikipedia)である。このリューター、一応百均でも売っている(百円とは言っていない)ので意外と敷居が低かったりする。
このアクリル板を用いてアクリル板を薄く削ると、その削った部分が白くなる。それだけでも十分なのだが、その削った板に下から光を入れることでその白い部分が更に強調される。結果としては自分が先程あげた写真と似たような物になる。
この削る方式には幾つかデメリットが存在する。その中でも最も大きいのが「仕上がりを綺麗にするのが難しい」という点であろう。アクリル板をリューターで掘るという動作の性質上、白い面を作ろうとすると汚くなりがちなのだ。拾い物ではあるが、下の画像を見ていただくとその意味がよく分かるだろう。
白い面を広くすればするほど、その面を均一に表現するのが難しくなるのだ。ただこれは裏返せば、表現方法次第で微妙な濃淡を演出できるということでもある。後述する「載せる」方法ではそれが非常に難しい。デメリットと言ったが、このことは削る方式のメリットでもデメリットでもあるといえるだろう。ただ、初心者がその演出を行うのは中々に難しいのは確かでありデメリットの側面のほうが強く見える。
その他にも、アクリル板をリューターで削ると粉の処理が大変!だとかアクリル板自体が脆くなっちゃう!とかリューター使うなんて怖いよぉふぇぇ……だとか色々難点が存在するので、素人が手を出そうとするには少しハードルが高いのでは?と個人的には思っている。
ちなみに
例えば工業用のフライス(データを入れればその通りにドリルが動いていい感じに物を削ってくれるかっちょいいマシン)を使うことで(フライス用にデータを用意するという行程が発生するが)様々な行程をすっ飛ばしてほぼ自動で痛アクリル板を完成させる事ができる。身近にフライス、もしくはそのたぐいの物がある方はぜひ試してみると良いだろう。
またここで紹介したリューターで物を削る、という行程を使った制作物として「痛グラス」が存在する。これはガラスのコップをリューターで削っていい感じにかっこかわいいグラスを作る!というものである。というかもしかすると痛アクリル板より痛グラスの方がメジャーかもしれない。日本痛グラス協会が存在するとかしないとか。
「載せる」
一方、近年痛アクリル板制作に一般的に用いられる様式がたぶんこちらの方法である。とは言え載せるとはなんのこっちゃという方がほとんどだろう。先程の痛アクリル板を光がない状態で見てみると下のようになる。
削る際と同じように白い部分が存在している。先程は削ることでこれを実現していたが、これは「くもりガラス仕上げスプレー」を塗布することで実現している。くもりガラスというのは所謂「すりガラス」というもので、このように
光は通すものの、向こう側が完全に見えないようなガラスのことである。想像力を掻き立てられるよね。モザイク。このくもりガラス仕上げスプレーは、そこら辺のガラスに吹き付けてやることでそのガラスをくもりガラスにすることができるというプライバシー保護にバッチリなスプレーである。このスプレーを使うことで痛アクリル板を制作することができるのだ。
え、なになに?「でもスプレー吹きかけたら全面くもりガラスになっちゃうじゃん」だって?そこで用いるのが「カッティングシート」の技術なのですよ。
カッティングシートとは
切り絵と同じか、それ以上に広く嗜まれる技術。カッティング用のシートを切り絵と同じ要領でカットしてやり、どこかにぺたっとそのシールを貼り付けて物をデコっちゃおう!というもの。長々と説明するのもアレなのでここらへんのページを見てもらうと分かりやすいかも。車やバイクというのデコレーションからスマホや携帯ゲーム機のデコレーションなど様々な場面で使われている。
詳しい話はいつかするかもしれないが、正直カッティングシートは切り絵より幾分か難易度が落ちるので切り絵に尻込みされる方はカッティングシートから始めてみるのもいいだろう。
カッティングシートを用いて
というわけで、作りたい模様でカッティングシートを作りそれをアクリル板に貼って、
そこにくもりガラス仕上げスプレーをかますことで先程の痛アクリル板が完成する、というわけである。ね、かんたんでしょう?
痛アクリル板の魅力
痛アクリル板の魅力、と聞かれると真っ先に自分は「綺麗だよ!」と答える。
ほら、光ってるしなんか綺麗でしょう?更に自分がオススメしたいポイントは「後ろが透けている」という点である。先程から痛アクリル板の後ろにかわいい女の子がいたのが分かっていただけるだろうか。そう、後ろが見えるのだ。光って後ろが見える、という要素から空中に浮かんでいるようにすら見えてくる。これは切り絵には出せない魅力であろう。また、光源の色を変えることで痛アクリル板はその表情を様々に変えるのだ。アクリル板と光の相性は非常に良いのだ。
おわりに
とりあえず痛アクリル板の簡単な説明については以上のようになる。実はまた別に、如何にアクリル板を光らせるか、と言った話などが始まるのだがまたそれは別の機会で。
じゃあね。