がちゃがちゃきゅ~とつむらっと

好きなことを、好きなように

YouTubeの動画編集で飯を食っていくという話

はじめに

皆様お久しぶりでございます。私ですつむらです。お元気でしょうか? 私はそこそこ元気です。つい2ヶ月程前に社会*1復帰をしたので、ブログの方にもリハビリがてら記事を投稿しようと思います。実は失踪期間中にも記事を書こうとしたのですが公開には至らず現在2本の記事が日の目を見ないまま眠っています。その記事を完成させるかは気分次第どうも私です。

最近は文章を公開すると言えば「note」なのでしょうが時代に取り残された自分にはよく分からないので、とりあえずこのはてなブログに記事を書こうと思います。特に有料で公開したいコンテンツがある訳でも無いですし(自分の書いた文章を売るというのも中々自信の要る作業ですよね)。

大前提として

この記事で「この動画に関わっているのが私です」という情報は徹底して隠すつもりです。理由は簡単で、自分の人格が原因で一緒に仕事をしている人に迷惑をかける事だけはあってはいけないから。つい最近オリンピック・パラリンピック開会式の演出に関わる人が過去の発言のせいで大炎上し、結果的に辞任するという事件がありましたが、そういう事態を避けるためと考えて貰って大丈夫です。残念ながら自分は出来た人間ではないので、過去の発言で危ういものがいっぱいあるでしょう(実際あった)。そういった理由でフワッとした内容になる部分もあると思いますがご了承ください。*2

今何してる?

YouTubeで飯を食っている」という文言自体は真実ですが、自分が例えば厳密に「HIKAKIN」さんのようなYouTuberかと言うとそういう訳ではありません。数年前まで(2015年くらい?)のYouTubeは確かに一人で動画を撮り、自分で軽い編集をして動画投稿をするという流れが一般でしたが、現在は(特に飯が食えるレベルのチャンネルで)完全に一人で運営されている物はそこまで多くないと思います。 そもそも演者が複数人いたり(グループ系、カップル系など)、カメラマンがいたり、専属の編集マンがいたり、はたまたテレビのように演出や構成を考える人がいたり。YouTubeがテレビ化していると言われるのはこの辺りが原因だったりもします。実際やっている事は(内容を含め)テレビ番組をそのままスケールダウンさせたもの、というチャンネルも存在しますから。

さて話が少し逸れてしまいましたが、自分は先程挙げた中でも「編集」という作業を主にしています。撮影された生の動画をカットしたり字幕をつけたりして見やすい状態に持っていく作業ですね。これはYouTuberが増えるにつれ生まれた仕事で、やはり最初はほぼ無編集、あって簡単なカットや超簡易な字幕程度の動画が主流でしたが、次第にテレビのように字幕や見出しをつけたり効果音をつけたりという作業をするのが普通になっていきました*3

もちろん動画の演者が自分で頑張って動画編集をするケースもありますが(HIKAKINさんなんかは自分で編集していると公言しています)、基本的に動画編集はクソめんどくさい地獄のような作業なので、どちらかと言えばしたくない作業です。なのでそこを担当する動画編集マンという需要が生まれた訳ですね。演者は本人じゃなきゃ絶対ダメですが、編集は他の人がやってもバレません*4から。

動画編集マンという概念

近年「YouTuber」がとてつもない勢いで流行った裏で、そのYouTuberの恩恵にあやかってやる! という動画編集マンが増えているのもまた事実です(自分もそう)。実際Twitterなんかでちょっと検索をしてみると動画編集を仕事にしようとしている人(意識高い系)を多く見かけますし、YouTubeのチャンネルを運営している人に対して「自分を編集で使ってくれませんか!」と売り込む事例も数多くあります。なんなら『これからの時代は動画編集で副業収入を得よう!』みたいな情報商材まがいの記事もあったりします(この辺りは流行り物の宿命ですね)。

最近は芸能人がYouTubeに参入する流れが流行っていますが、こういうパターンの場合はまず間違いなく編集は他人に任せていると思います。テレビは完全分業制ですから。

動画編集を外注するのは正しいか?

YouTubeチャンネルにおいて動画編集を外部の人間に任せるのが正しいか」、これは非常に難しい問題だと思います。個人的な意見ですが、その人の魅力を一番引き出しやすいのはその人自身だと自分は思っています。なんせその動画を撮ろうと思ったのも、その動画を撮ったのも自分自身な訳ですから*5何を伝えたいのかは自分が一番良く分かっているはず。ただ本人以上にその人の魅力を理解して引き出すことができる人が居るのも事実でしょう、第三者の視点だからこそ分かるものも当然あります。そこはやはりケースバイケースですね、当然ですが演者自身の編集技術に依存する部分は大きいです。

ここで一番してはいけないのは「素人の編集マンに任せてしまう」事だと思います。「動画編集なんて誰でもできるぢゃんw」と思うかもしれませんが、やはり最低限の技術は求められるもので、下手な人に任せると見るに堪えない動画が生まれます。当然です。

素人動画編集者が狙うのは、同じくあまり伸びていない素人の動画投稿者だったりします。大手のチャンネルにいきなり声をかけても当然無視されますから、無名なチャンネルで動画編集をして実績を積もうという魂胆ですね。編集側の営業戦略としてはもちろん正しいのですが、そういう動画編集者の腕はピンキリなので、動画投稿する側がどういう人に頼むかは慎重に見極めた方がいいと思います。というか最初は自分で動画編集をした方がいいです。動画投稿をするなら編集という作業は不可欠なものですし、最初から外注して無駄なお金を使うこともないでしょう。動画編集は楽しいですしね。

自分の場合

何故か「YouTube」みたいな話をしてしまいましたが、本題に戻って自分の話をします。複数のチャンネルの動画編集を兼業する人もいますが、自分は基本的に一つのチャンネル専属で動画編集をしています。一蓮托生状態ですね、リスクマネジメント的にはあまり良くないことですが。

先程「素人動画編集者が狙うのは、同じくあまり伸びていない動画投稿者」みたいな話をしましたが、自分はその形に近いです。厳密には少し違って、チャンネルの立ち上げ自体から自分は関わっています。まさに二人三脚、一蓮托生状態。今でこそ一本の動画で10万再生されたりもしますが、最初はもちろん2桁、3桁程度の再生数でした。チャンネルの収益は動画の再生数に依存し、その中で僕の給料が生まれるので動画編集を始めた当初は時給換算すると200円!wみたいな状況でした。そこからチャンネルも成長し自分も人並みの生活を送れるようになりました。感慨深いですね。

今のチャンネルに関わるようになった経緯は次の通り。もう一人(演者)がYouTube活動を開始しようとしていて、とあるサイトで編集者を募集。そこに複数の応募者がありコンペ形式での試験の結果、自分が採用されたという形。

動画編集者になるために必要な事

募集に応募した時点で自分にはYouTubeに投稿する動画を編集するという経験はほぼありませんでした。その自分が何故採用されたか? 振り返ってみると大きくニつの要因があったと思います。

動画編集の経験自体はあった

編集経験があった事、これは勿論とても大きいです。現在動画編集に使用しているソフトは『Adobe Premiere Pro』ですが、これを使い始めたきっかけは大学時代のサークル活動です。自分は特撮映像に関するサークルに所属しており、そこで自主制作映画の撮影も行っていました。その時に編集に使用したのがPremiere Proです。その時映画の編集をするという作業をしていなければ、動画編集でご飯を食べていこうという発想は絶対に生まれなかったと思います。何が人生で役立つかなんて、全く予想できないものですね。自分もPremiere君と毎日何時間もにらめっこする生活を送るなんて夢にも思っていませんでした。

動画編集という技術ですが、一定水準でいいのであれば誰にでもできる作業だと自分は思います*6。ただその一定水準に到達するためのハードルは意外と高いのではないでしょうか。特にPremiere Proを使用する場合、最初の一歩を踏み出すのが凄く難しいと思います。このPremiere Proというソフトは、あの大ヒット映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』*7の編集にも使用されたソフトです。基本的な動画編集ならなんでもこなせるとても便利なソフト。

blog.adobe.com

ただ何でもできるという事は裏を返せば何をしたらいいか分からないという状況の陥りやすいということでもあります。実際最初は「プロジェクトって何?」「シーケンスって何?」「カットってどうやるの?」「字幕ってどうやって入れるの?」「エフェクト…?」「動画の書き出しってどうするの…?」「というかなんかソフト重いんだけど!」と分からないことだらけです。その段階を独学とは言え趣味の一環で乗り越えていたのは大きかったと思います。(仕事の一環で何かの技術を取得するより趣味の延長線上で会得する方が身につきやすいのではと個人的には思います)

↓これはクソみたいなアフィリエイトリンク。Adobe Creative Cloud コンプリートプランはYouTubeをやっていくなら割と便利だと思います。Premiere Pro、Aftter Effects、Photoshop辺りを使うことが出来ると便利ですよ。(高いけどね)

ネット動画に昔から触れ続けていた

もう一つはネットに上げられている動画に対して理解があったこと。自分は2007年頃からニコニコ動画を観始めその後5年程ニコ動にどっぷりとハマり(華麗なる黒歴史)、世間の動画プラットフォームの主流がYouTubeになり始めた2014年頃からYouTubeの動画をずっと観ていました。特に割と黎明期からYouTube動画の流行り廃りの変遷を自分の目で見ていたのは大きかったように感じます。「今の主流はこんな動画なんだ」「こういう動画は今はもう流行らないんだ」という感覚が実感としてありました。そのコンペがあった時も「今はこんな風に編集した動画が観られやすいな」という基準の元動画編集を行ったのを覚えています。基本的には「人気の動画=観やすい動画」なので、人気のある動画っぽい編集をするとそれっぽい動画が出来上がります。

その他にも要因はあると思いますが、大きいのはこの二つでしょう。こう振り返ってみると、ある意味天職だったのかもしれません。

動画を編集していく上で必要なこと

身も蓋もない話ですが、動画編集者になること自体は誰にでも出来ます。自分で適当に撮った動画を適当に編集して動画投稿サイトにアップロードすればいいのですから。

では「お金を貰ってYouTubeで動画を編集していくには」どうすればいいか。もちろん良質な提携先を見つけることが一番なのですが、ここではそれは置いておきましょう*8

センス…?

幸いな事に自分が編集した動画に関して「編集のセンスが良いよね~」と言ってもらえることがぼちぼちあります。とてもありがたい事なのですが、では「センスが良い」というのはどういうことなのでしょうか。あまりにもふわっとしていてよく分かりませんよね。

動画編集のセンスですが、個人的には分かりやすい要素として二つのセンスがあると思っています。

字幕のセンス

最近の動画では演者が話したことに対して字幕(テロップ)を付けるのが一般的となっています*9。「字幕をつけるなんてそれこそただの文字起こしじゃんw誰でもできっぺw」と思うかもしれませんが、実は意外と奥の深い作業です。下にとても極端な例を載せます。

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字幕比較

左の字幕は流石に人前に出してはいけないレベルだとは思いますが、それでも似たような字幕をYouTubeで見かけることもあります。この他にも字幕の色だったりフォントだったりタイミングだったり、字幕の見やすさを左右する要素は沢山あります。特にフォントはやはり命です。これまた簡単な例を下に載せます。

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字幕比較その2

左と比べると右の方がより感情的な印象を受けますよね。やはりフォントで動画のイメージは大きく変わってくるので、フォントに鈍感だと動画制作は難しいかもしれません。とか偉そうな事を言っていますが、自分もフォントについてそこまで詳しい訳では無いのでなんとなくでやっていますが。

少し話は逸れますが「けいふぉんと」というフリーフォントを使用するYouTube動画が意外と多いです。自分も昔使っていたので人の事はあまり言えないのですが、個人的にはダサいフォントだと思うのであまり乱用しない方がいいかなと思います。

カットのセンス

こちらは分かりやすく目に見える部分では無いので意識しない事も多いと思いますが、カットが上手いかどうかは動画の出来に大きく影響してきます。カットというのは文字通り動画の要らない部分を切り取る作業ですが、どの部分を切り取るかというのが問題になってきます。

例えば「トーク動画で人が話していない部分(無言部分)をカットする」という作業ならもちろん誰でもできます。ここで問題になってくるのは「30分話した動画を10分にしないとけない」ような場合。ここで必要になってくるのが要約する力です。昔国語のテストで「この文章を読んで100文字程度で要約せよ」みたいな問題がありませんでしたか? カット作業とはまさにそれです。つまり国語の成績が大事になってくるんですね。小中高生の時「国語なんて勉強していつ使うんだよwww」と思った事が誰にでもあるでしょう。自分もあります。

なんとYouTubeで使います。

何が人生の役に立つか本当に分からないですね。

実際「全体的な要点を損なわずに不要なトーク部分をカットする」「カットの前後で日本語が破綻しないように気をつける」「話が分かりやすくなるように発言を敢えて前後させる」といった作業には神経を使います。ただその動画の本質的な出来に大きく影響してくる作業なのでしっかり注力しましょう。本当に大事です。

ちなみにYouTube動画で一般的に使われているのがジェットカット*10と呼ばれる技法だったりします。

字幕はめんどい

一般的なYouTube動画を編集する工程で一番時間がかかるのが「字幕をつける」という作業そのものです。やっている事自体は単純な文字起こしですが、例えばずっと喋り続けている10分間のトークを全て文字にするとなるとそれはもう非常に面倒な作業になってきます*11。特に複数人がワイワイ喋る! という状況だと酷いときで1分間の字幕をつけるのに1時間かかることすらあります*12*13

じゃあそもそも字幕は要らないのでは? という疑問もあるでしょう。実際動画の字幕なんかつけなくても大成功しているYouTuberの方は何人もいます。ただ自分はこういうメッセージを受け取ったことがあります。

耳が聴こえないのですが、字幕のおかげで自分でも動画を楽しめています!

こういう声が実際にあるのなら頑張ってでも字幕をつける価値はありますよね。自分はこの声を励みに文字起こしをしています。まあめんどいんですけど。

おわりに

そもそもの話としてYouTubeは一部の超トップ層を除いて安定した仕事ではないのは事実です。チャンネルがオワコンになるかもしれない、YouTubeというプラットフォームが死ぬかもしれない、稼げなくなる要因はいくらでもあります。ただこのコロナ禍でいくつもの産業が大打撃を受けた中で、YouTubeは巣ごもり需要もあり伸びた分野でした。個人的には正直助かったと言えます。

先程少し話が出ましたが、動画編集をするにしても副業感覚でするのが良いでしょう。現実問題として動画編集オンリーで人一人が暮らしていけるだけの仕事を引っ張ってくるのは中々難しいと思います。特にゼロからだと相当苦労するのではないでしょうか。

YouTubeで飯を食う」という事柄に「動画編集で」という道がある事を知らない人も多いかもしれません。実際裏方なので表に出ることはほとんどありませんから*14。ただ演者として画面の中に立つという行為はハイリスク・ハイリターンです。自分は正直演者になりたいとは思いません。飯が食えるレベルで有名になるということは「匿名の誹謗中傷が飛んでくる状況になる」のと同義です。自分はそこまでメンタルが強い人間でもないので、そういう意味でも裏方の編集担当がちょうど良いのかなと思います(上昇志向が無いとも言う)。

自分が今YouTubeの動画編集という行為で生きていく事が出来ているのは運が良かったおかげという側面が多分にあると思います。編集者募集の要項をたまたま見た、その募集をかけている人がたまたま良い人だった、その時たまたま自分に最低限の動画編集能力があったetc…。世間の仕事というのは運に左右される部分もあるかと思いますが、ことYouTubeという戦場においては運の要素が強めだと思います。ただ一発当てるのは運ですが、そこから再生回数を継続していくのは間違いなく実力が問われます。運と実力が分かりやすく問われる世界ですね。人気やらなんやらが分かりやすく数字で出てくる世界なのである種ゲーム感覚でYouTuberを楽しんでいる人もいるとか。

ここでYouTubeは結局動画の再生回数が一番重要なので「どうやったら色んな人が観てくれるんだよ!」というとても大事な話が気になる方もいらっしゃるかもしれませんが、今回の本筋の話ではないので割愛します。自分が話せることもそこまで多くないですし。

最後に、一番大事だと思うのは動画を編集して色んな人に観てもらえるのが楽しい! という気持ちです。作る側が楽しんでいない動画を観る側が楽しむのはやはり難しいでしょうから。

また書きたいことがあればブログを更新すると思います。ではでは。

(無いとは思いますが)動画編集をお願いしたいみたいな話があればTwitterの方にDMでもください。もちろんお金は取りますけど。

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*1:Twitter

*2:仮に○○の動画作ってますか?という質問が図星でも自分は「違います」と答えるつもりです

*3:YouTubeのチャンネル管理画面で「動画に字幕をつけると伸びやすいですよ!」とアドバイスされるので、実際にこれらは有効な手段なのでしょう

*4:諸説あり

*5:逆に企画立案が別にいるならその限りではない。究極的にはテレビ番組がそう

*6:After Effectsあたりを持ち出してゴリゴリPVを作るとかなってくるとまた別

*7:めちゃめちゃ面白かったですよね、1回目に観に行った時は後半ずっと泣いてました

*8:極端な話、月に動画1本編集してくれたら30万円あげるよ~みたいな人がいれば余裕で生活できてしまうわけですしね

*9:これは恐らくヒカル氏の影響が大きいのではないだろうか

*10:日本で最初の動画レビュアーと呼ばれるジェットダイスケ氏が考案した方法で、会話の間の喋っていない部分を必要以上と思えるまでにカットすること

*11:先程説明したジェットカットという技法の都合上、本当に喋りっぱなしなのである

*12:相当稀な状況ですが

*13:ゆっくり動画は普段からこれくらいの時間がかかると聞きます

*14:中学生がなりたいと思い描くYouTuberも画面に登場してわちゃわちゃしているような人を指しているでしょう